プカプカおさかな委員会

たかとけいたが日記やらなんやらを載せる場所です。おさかなも委員会も関係ありません。

【ネタバレ有】2023年に観た映画ベスト10

こんにちは。

 

2023年ももう終わりですね……。

 

2023年ももう終わりなので、今年観た映画のベスト10を決めようと思います。

 

今年映画館で観た作品は全部で78作品。その中でベスト10を決めたいと思います。

 

ちなみに「ベスト10」なので、発表する順番に深い意味はないです。

 

邪推しないでね。

 

行くぞッ!

 

①『バビロン』

バビロン

ディミアン・チャゼルの監督で、ブラピやマーゴット・ロビーなど出演者も豪華な作品。これは最高でしたね……。ハリウッドが舞台になっているんだが、娯楽産業というものは人を狂わせるものだということをひしひしと感じされられた。ブラッド・ピット演じるジャックとマーゴット・ロビー演じるネリー、どちらもハリウッドスターとして活躍する時代があるんだけど、最終的には二人とも非業の死を遂げるんです。エンタメってのは必ずしも関わる人全てを幸せにするものではない。それによって救われる人がいるのは確かだけど、誰かを救う過程で多くの人が傷を負っている。結局のところ、娯楽産業なんてのはどこかしら狂ってる人間じゃないと関わっていられないんだな、というのを感じされられるような作品でした。だからこそやめられない。ぼくらはみんなイカれてるんです。

 

②『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』

ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー

この作品、全部で3回観ました。字幕で2回と吹替で1回……。言わずと知れたゲームシリーズを題材とした作品。プレイしたことない人の方が少ないんじゃないかな。その自信を感じるような作品だった。要は内輪ネタが多いんですよ。『ドンキーコング』のハシゴを彷彿とさせるステージとか、『マリオカート』のようなカーチェイスとか……。だからこそゲームに触れてきた人には楽しめるポイントになっているし、知らなくても引っ掛からないくらいのフックになっている。それからファミリームービーとして最高でしたね。ぼくが吹替で観た回では子どももいっぱいいたんだけど、スクリーンに感情が動かされていた。映画館のあるべき姿がそこにはあった。映画ってのはこうでいいんです。難しいことを考察したり議論したりも楽しいんだけど、根本的にはたくさんの人が楽しめる場でなければいけない。大衆娯楽としての映画のかたちがこの作品には感じられた。

 

③『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3

この作品は入れされてください……。このベスト10、ぼくだけのベスト10なんで……。MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)の作品で、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』シリーズ3作品目。もはや家族同然のこのチームが、今作でお別れを迎えるんですよ。ただそれは決して悲しいものではなくて、それぞれがそれぞれの生き方を見つけるんです。過去や境遇に縛られて生きてきた彼らが、それぞれの進むべき道を見つける。それは決して解放を意味するではなく、全てを受け入れることでもある。過去を全て受け止めて、そのうえで生きていくことを選んだんです。その姿が最高にカッコいい。カッコ悪く生きる人間って、カッコいいんです。

 

④『ダンジョンズ&ドラゴンズアウトローたちの誇り』

ダンジョンズ&ドラゴンズ/アウトローたちの誇り

人気TRPGダンジョンズ&ドラゴンズ』が映画化したこの作品。何か特徴的な部分があったわけではないんだけれど、とても記憶に残っている。ちなみにぼくは『ダンジョンズ&ドラゴンズ』をプレイしたことはないです。名前とかある程度の知識はあるけど、プレイしたことはない。それでも楽しめた。いわゆる王道ファンタジーアクション作品なんですよ。変な混じりっ気というか、複雑さがない。『スーパーマリオブラザーズ』と一緒で、誰でも楽しめる作品になっていた。コメディ要素も質が高く、頭を使わずに観られるような作品でした。

 

⑤『ウーマン・トーキング 私たちの選択』

ウーマン・トーキング 私たちの選択

とある村で起こった連続レイプ事件に対し、女性たちが選択のための議論を行う作品。言ってしまえば本当にそれだけなんです。「村を出るか、残るか」という議論をする場面だけが映され続けていく。ただこの作品の凄いところは、その議論が満場一致では進まないところ。レイプの被害者である女性たちの中には、村を去ることに反対する人もいるんです。「男性なしでは生きていけない」と。実際はそんなことはないんだろうけど、この村では男尊女卑的な思想が蔓延している。女性に対する差別が、女性の考えを支配しているんですよ。彼女たちから選択肢を奪っている。最終的には多数決で村を出ることが決まるのだけれど、これも決して満場一致ではなく、村に残る選択をする女性も出てくる。民主主義って、こうなんだよね。多数決というのは公平な手段ではあるかもしれないけれど、決して全員を救うものではない。あくまで結論を出すための手段であって、それ自体が万能なものだと思ってはいけない。そういうことを感じさせる作品でした。

 

⑥『ゴジラ-1.0』

ゴジラ-1.0

ぼくはゴジラ映画は洋画しか観たことがなかったので、これが初めての邦画のゴジラ映画だった。第二次世界大戦後の日本に、ゴジラが現れるという作品。CG技術やゴジラの存在感も凄かったんですが、実はぼくが一番印象に残ってるのはそこではなくて。神木隆之介演じる敷島は、第二次世界大戦を生き延びた元特攻兵なんですよ。要は特攻をせずに帰ってきた。そしてそれだけでなく、ゴジラに立ち向かうことができずに仲間を死なせてしまったという負い目も感じているんです。そんな中ゴジラが再び現れて、作戦の一環として彼は特攻をする選択をするんです。ただ最終的には脱出装置が設置されていて、彼は死なずに済んだと。このシナリオが素晴らしくて。戦争や戦後を舞台にして、死ぬことを美しいこととして描かなかったのって本当に素晴らしいと思うんですよ。国のために死ぬことが美徳とされた時代に、死なないこと・死なせないことを選択させたことに意味がある。これは感動しました。

 

⑦『ホーンテッド・マンション

ホーンテッドマンション

ディズニーランドの人気アトラクションを題材とした作品。このアトラクションを基にした映画は過去にもエディ・マーフィー主演で制作されているけど、今作はかなりアトラクションに寄せていた。そう、アトラクションに寄せていたんです! ここがミソなんですよ。そもそも前提として、ぼくがディズニーパークのオタクであるっていうのを意識してこの文章を読んでくれ。ホーンテッドマンションってアトラクションとしても人気で、特にそのBGS(バックグラウンドストーリー)っていうのはかなり奥深いんですよ。今回その辺にも大胆に触れていっていて、めちゃめちゃ最高だった。これは『スーパーマリオブラザーズ』とは逆で、オタクに刺さる部分が多すぎる作品です。大衆ウケとかちゃんと考えた?

 

⑧『アントニオ猪木をさがして』

アントニオ猪木をさがして

昨年10月にこの世を去ったアントニオ猪木が残したものを探すための作品。ドキュメンタリーパートとドラマパートで構成されており、プロレスラーだけでなく俳優や文化人など多くの著名人が出演していた。この作品のテーマは前述の通り「アントニオ猪木を”さがす”」ことなんだけど、その具体的な目的や答えは出てこない。猪木流に言うなら「見つけろテメーで!」ということなんでしょうか。ぼくがこの作品を通して感じたのは、「アントニオ猪木を”さがす”」という行為自体が間違っているのかなと。アントニオ猪木は「いる」んですよ。この作品を通して多くの人が探そうとしているのは「猪木寛至」だと思う。この作品を観にきている時点で、アントニオ猪木は「いる」んです。「アントニオ猪木は”いる”」ということに気付くための、「さがす」という行為なのかもしれない。

 

⑨『映画 すみっコぐらし ツギハギ工場のふしぎなコ』

映画 すみっコぐらし ツギハギ工場のふしぎなコ

人気キャラクター『すみっコぐらし』の映画第3作。ぼくは前作2本は観ていなかったので、この作品が初めてでした。最初に「ベスト10だから順位とかはない」って言ったんですが、1位を決めるとしたら間違いなくこの作品です。主人公たちは自分の個性に自信が持てない「すみっコ」たちで、分かりやすい言葉でいうとそれぞれコンプレックスみたいなものを持っている。そんな彼らがひょんなことからおもちゃ工場で働くことになるんですが、途中でその工場が暴走しておもちゃをひたすら作りまくるんです。街にはおもちゃが溢れてしまうんですが、実はその工場にも意思があって、忘れられることの恐怖からそういう行為に至ってしまったと。その工場に対してすみっコたちが新たな存在意義を与えてあげるんですよ。これがもう素晴らしくて。すみっコ自身も自分の存在意義に疑問を持っている存在なので、同情的な部分を一切持たずに工場のために行動をするんです。彼らは自分が「すみっコ」であることを恥じたりするのではなく、ある種一つの特徴として受け入れている。だから工場に対しても100%の善意でそういう行動ができるんですよ。この社会の完成度よ。彼らが抱える悩みから「脱却する」のではなく、「共に生きる」という選択をしている。それこそが理想的な社会の在り方ではないかなと、そう感じさせられました。

 

⑩『ぼくは君たちを憎まないことにした』

ぼくは君たちを憎まないことにした

2015年に実際に発生したテロを題材とした作品。テロによって妻を亡くした夫は、幼い息子と二人で生きていく中でテロリストに対して「ぼくは君たちを憎まないことにした」というメッセージをソーシャル上で発信する。この「憎まない」という行為の奥深さ。彼の意味する「憎まない」とは、「日常を続けていく」ということなんです。妻を失っても、生きることを続けていく。ただこの「憎まない」という宣言をするということは、同時に自信に枷を付けるのを意味する。だって憎む方がはるかに楽な道だから。「憎まない≒赦す」という態度は、「赦さない」という感情とは両立すると思うんですよ。態度と感情は別だから。そしてこの場合においての「他人を赦す」ということは「自分を許さない」ということでもある。「(テロリストを憎むという行為を)自分に許さない」という道なんです。何かに対して矛先を向けることをすることを自分に許さない。だからこそこの道を選び、苦しみ続ける。強くあるということは立派に見えると同時に、長く苦しい道でもあるんです。

 

 

総括

今年観た作品はかなりエンタメ色の強いものが多かった気がする。市場全体がそうだったのか、ぼくがそういう作品を好んで見ていたのかは分からないけど。その一方で社会的な問いかけを感じるような作品も多くて、考えを変えられるような作品にも多く出会いました。しかもあんまり説教くさくないというか、メッセージ性がそこまで露骨に出てきていなかったんだよな。来年はどんな作品が観られるのか楽しみです。映画料金、もう少し安くなって~!