プカプカおさかな委員会

たかとけいたが日記やらなんやらを載せる場所です。おさかなも委員会も関係ありません。

【日記】一思いに

2022年5月11日(185日目/803日目)

一思いに

 

 

地獄の門(ヘルズゲート)

 書くぞ。今日はもう前置きとかなしにいきなり本題に入る。ぼくが書きたいこととみんなが知りたいことが完全に一致してるんだもん。採血をしてきました。というか健康診断だった。こっちの方が正しい表現だな。でも正直健康診断なんて「採血とそれ以外」みたいなもんではある。採血がメインディッシュで、その他の項目はもうお医者さんごっこみたいなもんよ。あんなんやってもやらなくても一緒だからな。ごめんなさい先に言っておくけど今日の日記は言葉を選ばず書きます。強い言葉もどんどん使います、採血をされたので。これがぼくなりの”復讐”だよ。

 

 じゃあ書いていこう。今日はお昼すぎから健康診断だった。午前中に何やったかは正直そんなに覚えてないです、それどころじゃなかったので。採血前の焦らしの時間でしかなかった。あと健康診断なので基本的には予約の6時間前からは一切の飲食が禁止されたのでみんな「お腹空いた~」とか言ってたけど、これも一切そんなこと感じなかった。空腹を感じている余裕なんかない。何故ならもっとスケールの大きなものに脅かされていたから。命の危険に晒されている状態で空腹とか気になりますか? ならないでしょ? そんな小さいことで悩んでいる余裕はなかった。

 

 いざ病院に着くと最初に受付があるんだが、事前の問診で「採血をした際に気分が悪くなったことがある」と回答した人はここで横になって採血をするか聞かれていた。ぼくは「いいえ」と回答したので聞かれなかった。この時点でだいぶグレー。死神がデッケェ鎌持って待合室のソファに座ってるの見えたもん。聞いてくれよ……。採血したことないんだから「いいえ」って答えるしかなかったんだよ……。あれは質問の仕方が悪いね。受付が済むとロッカーでジャケットを脱がされたんだが、女性陣は検査着に着替えさせられていた。ぼくもそれ着たかったわ。それ着てればまだ覚悟決まったもん。「あぁ、これから検査されるんだ」って気分になったもん。あの病院、ぼくが採血ムリなの知っててそういう性格悪いことしてた可能性もあるな……。一応人事に言っとくか。来年から病院変えた方がいいかも。

 

 

終わりのカウントダウン

 検査が始まると、一人ずつ名前が呼ばれて色々なブースに連れていかれた。順番とかは特に決まってないらしく採血がいつ来るかは分からない。「たかとけいたさ~ん」と呼ばれた。「ハァイ……」と力の無い声で答える。ヘーベルハウスのCMか。看護師さんが言う。「採血で~す」

「ナァァ……グッ!!クァ……ッァイ……ック!!

 ホントにこう返事したと思う。それも病院で出しちゃいけない声量で。最初かい。最初に採血かい。ぼくが泣きそうな顔をしていると何かを察してくれた看護師さんが「採血最後にしますか?」と聞いてくれた。おいおいおいおい。ディズニーランドか? ホスピタリティがスゲェな。お言葉に大甘えした。

 

 最初は身長と体重の測定だった。172,3cm・59,0kgと数値がモニターに出る。どうでもよかった。検診が1項目済むごとに採血が一歩ずつ近づいてくるから。待合室にいた死神もいつの間にか隣で検診を受け始めている気がする。鎌はロッカーに預けてこいって。視力測定。完全正答で両目とも測定限界値の1,5を叩き出す。興味なし。その次は腹囲の測定だった。これに関しては数字言われてもピンと来ない。そして心電図。シャツを出してまくる。これもやや怖いんかい……。心電図も初めてやったが、色んなもん身体にペタペタ貼んなや……。幼稚園児いる家の冷蔵庫じゃないんだぞ。そんでおっきい洗濯バサミみたいなやつなんなんだよ。やや怖いじゃねぇか。心電図が済むとレントゲンだった。撮影室まで行くのに採血の会場を通らなければいけなかったので必死に目をそらした。目に入るとこに置くな。シャツを脱いで撮影した。そのままシャツは脱いでおくように指示がある。部屋ごとにボコボコにされたのかと思うくらいどんどん服装がだらしなくなっていく。医師の診察。至って健康とのこと。じゃあ最初からこれだけでいいじゃねぇか。なぁ。聴力検査。これも全問正解。看護師さんが言う。「次の採血で終わりですね~」

 

 終わった。終わってないけど。終わってないけど終わった。もっと丁寧に検診してもらえばよかった。今思うとぼくだけ検査のペースが速かった気がする。「早くコイツ採血のとこ連れて行こうぜ」みたいな悪意があったように感じる。一つの検査が終わると矢継ぎ早に次の検査に運ばれたし、一つ一つもかなりサクッと終わらせられた。ゴネればよかったんかな。レントゲンとかも「ちょっと盛れてなかったんでもう一回……」みたいにボケればよかった。でもそれで元気なやつだと思われて採血も軽いノリでやられても困る。可能な限り丁重に扱ってほしかったし。気持ちは分かる。この時期なんか健康診断を受診する人も多いだろうし、よりたくさんの人を捌くには効率を重視してやらなきゃいけないのも理解してる。でももっと患者の気持ちに寄り添おうよ……。あなたたちはどうして医者・看護師になったんですか? 人を救いたかったんじゃないんですか? ここにいますよ、健康診断のせいで体調悪くなりそうな本末転倒人(ほんまつてんとうんちゅ)が。優先順位間違えてませんか。でもいくらゴネても、結局その時はやってきてしまう。

 

 

執行の刻(とき)

 採血の会場に行くとき、ギャグとかじゃなく本当に手と足が一緒に出ていた。今までしたことないくらい緊張していた。「お名前教えてください」って言われたときも「タァトエェタッス……」としか答えられなかった。もうどうしようもない。ここで終わるんだ。両腕を出すように言われた。どっちの腕で血を抜くか決めるらしい。「左手で大丈夫そうですね~」と言われた。何が? 何が大丈夫なんですか? 説明してくれよ。椅子に座ろうとしたら「ベッドで横になってやるので移動しますよ~」とのことだった。伝わっちゃってんじゃん。言わずとも伝わっちゃってんじゃん、ぼくがビビり散らかしてるの。頼んでもないのにベッド使わせてくれた。ディズニーランドか? ベッドに横になった。いよいよだ。もう駄目だ。逃げられないんだ。看護師さんの顔を見る。あぁ、あなただったんですね、待合室からずっといた死神の正体は。

 

 「ちょっとチクっとしますね~」と看護師さんが言う。ちなみにベッドに横になった段階から既に壁の方を向いたうえで目を瞑っています。針が刺さる。「……クッ!!ックァ!!」二度も叫ぶな、病院で。採血中も看護師さんは気を紛らわすために話しかけてくれた。

「注射苦手なんですか?」

……ンハァ……ッスネ……

 もうやめてくれ。これ以上惨めな思いさせないでくれ。いっそ「お前23にもなって注射もマトモにできないんか!」ってバカにしてくれた方が気が楽だったかもな。情けないよぼくは。声にもならない声で返事してさ。そのくせ「結構時間かかるんですね!」って。そういうことだけ大きな声ではっきり言うのな、早く終わってほしいから。最後に「針抜きますね~」って看護師さんが言ったあとに「もう一回チクってしますよ」って付け足したんだけど、そのときももう一回針刺して採血すると勘違いしたから「もう一回……? もう一回!? もう一回ですか!?」って。パニックになんなよ。看護師さんも慌てて「針抜くんで! 針抜くからそれでチクってするって意味です!」って言ってた。迷惑かけんなって。

 

 採血が終わったあとも「また呼びに来るんで、5分くらい横になってましょうね~」って気を遣ってくれた。この5分がツラかった。採血が終わるまでの自分の行いを振り返って、情けなさすぎて……。でもこんなん初めてで怖がらない方が無理だろ。予防接種や局所麻酔と違って”抜く”注射だぞ? どうすんの、血ィ抜く勢いが強すぎて血管裏返って出てきたら。ゼロじゃないだろ可能性として。気のせいか左腕の方が軽く感じる。あと身体に穴開けてんのに大丈夫なことあるか。それも血管だぞ。さっきシャワー浴びたときも「この穴からシャワーのお湯とか入ってきたらどうしよ……。あなんか考えてたら痛くなってきた! 痛くなってきたかも!」ってプチパニック起こしてんだこっちは。こんなん年イチでやるとか先進国のやることか。2022年にもなって身体に穴空けないと健康状態分からないなんて……。スマホ薄くする前にやることあんだろ。そんで5分経って呼びに来たときも「最後にお水飲んで帰りましょうね~」って。もうこれはね、介護です。健康診断じゃなくてただの介護。こうしてぼくの人生初採血は幕を閉じました。二度とやりません。

 

 ちなみに頑張ったので健康診断の後のお昼はお寿司を食べました。